歯の移植　～ブリッジ・入れ歯・インプラントだけでなく～

 石神井公園駅北口徒歩1分、歯周病専門医インプラント認証医、たけのうち歯科クリニックの竹之内です。当院は、歯周病・インプラント・審美歯科・予防歯科に積極的に取り組んでおります。

歯を失った部位への欠損補綴治療には、ブリッジ・義歯（入れ歯）・インプラントからの選択が一般的です。

それぞれに利点と欠点があり、患者さんにはそれらを説明して選択していただく形になります。

ただし、お口の中の状況は皆さん違いますので、その患者さんにとって望ましいと思われる治療法を提示させていただくこともあります。

そのような時に悩むケースの一つとして、奥歯の一本を失った時です。

失った歯の隣接歯が健康なため、歯を削らなくてはならないブリッジは避けたい・・・

部分入れ歯であれば削らずに済むこともあるが、装着時の違和感や入れ歯が入っているという見た目も気になる・・・

歯を削らず、見た目や装着感も良好なインプラントがいいが、患者さんが費用の点で難しい・・・

とても難しい選択です。

しかし、「歯の移植」によってそのような状況を解決してくれることがあります。　

写真の患者さんは若い女性ですが、奥歯のむし歯を放置してしまい、歯冠が崩壊して歯根も分離してしまっています。

レントゲン写真を見ると、むし歯は歯根の方にまで進行し、保存が不可能な状態でした。

そこで欠損治療が必要になるわけですが、先に述べたようなことを考え、親しらずの移植治療で対応することにしました。

親知らずの歯根膜を傷つけないよう慎重に抜歯を行い、

その後、保存不可能な歯の抜歯と移植するための歯槽骨の形態調整を行い、ソケット内に親知らずを設置します。移植したばかりは、歯がグラグラしていますので、ワイヤーや縫合糸等で写真のように固定しておきます。　

その後経過観察を行い、移植した歯が歯根完成歯であれば、抜歯をすることで歯の内部にある神経は失活してしまうので、神経をきれいに取り除き、根管内に薬を詰める根管充填を行います。

下のレントゲン写真は、先日根管充填を行った時のものです。薬剤はしっかり根尖部まで入っています。

移植歯周囲の歯周組織の再構築も認められ、固定用のワイヤーを除去しましたが、歯の動揺もなくしっかり噛むことができます。

今後は歯冠形態を整える治療を行う予定ですが、ここまでくれば大丈夫です。

周囲の歯を削らず、若い女性に義歯を入れずに済み、インプラントより費用を抑えて、欠損治療を行うことができました。

2012年10月のブログで紹介した患者さんの移植治療も終わり、自分の歯で噛める喜びを感じていただきました。

術前　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　術直後

術後

この治療は、移植に適した歯があって、様々な要件をクリアしないとできませんが、このように患者さんや私達の悩みを解決してくれることがあります。