長期的なメインテナンスによる歯肉の変化(クリーピングによるブラックトライアングルの閉鎖)
石神井公園駅北口徒歩1分、歯周病専門医/指導医、インプラント専修医、医)竹和会 たけのうち歯科クリニックの竹之内です。当院は、歯周病・インプラント・審美歯科・予防歯科に積極的に取り組んでおります。
長期的にメインテナンスをしていると口腔内には様々な変化があります。
良いことばかりではありませんが、その一つ一つが、私達にとって学び考えさせられることばかりで、その後の臨床に活きる貴重なものです。
この患者さんは、たけのうち歯科クリニックを開業したの翌年の2011年に初診で来院された方です。
全体的に重度の歯周病に罹患しており、約1年かけて治療を行いました。
年齢が比較的若く、患者さんも治療に協力的な方でしたので、SRP(歯周ポケット内部のプラークや歯石を徹底して除去)することで、歯周組織の炎症はみるみるうちに改善していきました。
そして、上顎の前歯部においては、審美性や機能性を回復するために、4本の前歯に連結したクラウンを装着し、その後メインテナンスに移行しました。
下の写真はクラウンを装着する前の土台の状態です。
歯と歯の間(歯間部)の歯肉には陥凹が認められます。
下の写真は、連結した4本のメタルセラミックスクラウンを装着後のものです。
歯間部にはブラックトライアングル(隙間が黒く三角形に見えることからそう呼びます)が認められます。
そして、2012年から2023年の今日まで、コロナ禍で少し間が空いてしまった時期もありますが、3~4ヵ月毎のメインテナンスを約11年間行ってきました。
するとどうでしょうか。
写真は2023年のものですが、クラウン装着直後にあったブラックトライアングルは歯肉でほぼ埋まり、本来の歯肉の形態になっています。
そして、治療としてはSRPをしただけの下顎前歯においても、歯肉全体が上方に回復してきて、歯間部の隙間が狭くなってきているのがわかります。
レントゲン写真においても、歯間部の骨の頂上に白い線が見えるようになり、形態が安定してきています。
適切なブラッシングと定期的なプロフェショナルケアを長期に亘ってしっかり行ったことで、このような結果に繋がったのです。
患者さんと私達が、口腔内の健康を維持するために力を合わせたことの賜物ですね。治療に携わった者としてとても嬉しかったです。
生体の元に戻そうという力をうまく引き出せれば、このように驚くような変化があるのです。
「定期的なメインテナンスを続けていくこと」と「記録をしっかり取っていくこと」の重要性を改めて実感しました。
カテゴリー:歯周病治療 ,審美歯科治療 投稿日:2023年1月22日